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研究概要

軟骨代謝、軟骨病態、軟骨再生を研究する。

Investigating cartilage biology, pathology and  regeneration.

軟骨代謝、軟骨病態、軟骨再生を研究する。

Investigating cartilage biology, pathology and  regeneration.

 

軟骨には成長軟骨と関節軟骨があります。成長軟骨の異常は、成長障害などの骨系統疾患を引き起こします。

関節軟骨の異常は、運動時の関節痛を起こし、変形性関節症の原因にもなります。

整形外科の現場ではこれらの軟骨疾患の治療は難しく、長年にわたりチャレンジングなテーマです。

その理由として、患者さんの軟骨は貴重で、簡単に採って調べることができないため、研究が進みにくいことがあります。

そこで、妻木研究室では、

 ① 軟骨の基礎研究

 ② 軟骨細胞を誘導する技術の確立

を行い、その知見と技術を元に 

 ③ 骨系統疾患の病態の解明、薬剤の探索

 ④ 関節軟骨損傷の再生治療法開発と治療薬の探索

を目指しています。

① 軟骨の基礎研究 ― 軟骨ができる仕組みを調べるー

軟骨疾患の治療方法を開発するため、世界中の多くの研究者が、軟骨の形成・分化に重要な遺伝子の機能を調べる基礎研究を行ってきました。


私たちも、遺伝子改変マウスを作り、生体での軟骨細胞分化機構を調べることで、軟骨細胞増殖/分化に関わる分子の機能解析を行っています。

② 軟骨細胞を誘導する技術の確立  ― iPS細胞開発に伴う細胞リプログラミング技術を応用ー

患者さんの軟骨を採取することが困難なため、私たちは①で得た知見と、iPS細胞開発で発見された細胞リプログラミング技術を組み合わせることで、軟骨疾患患者さんの皮膚細胞を基にして、純粋な軟骨細胞を試験管の中で誘導する技術の開発を進め、既に可能になりつつあります。


患者さんの軟骨細胞を誘導する方法には、皮膚などの体細胞を一旦iPS細胞に誘導してから軟骨細胞に分化させる方法(多能性リプログラミング)と、皮膚細胞を軟骨細胞へiPS細胞を経ずに直接誘導する方法(ダイレクト・リプログラミング)があり、それぞれに特徴があります。

③ 骨系統疾患の病態の解明、薬剤の探索  ― 誘導した疾患軟骨細胞を疾患モデルとしてー

患者さんの細胞から誘導した軟骨細胞では、患者さんの軟骨疾患病態が再現することが期待できます。


骨系統疾患患者さんの皮膚片を頂き、そこから直接的に軟骨細胞を誘導する、あるいは一旦iPS細胞を誘導

した後に軟骨細胞へと分化させることで、患者さんの軟骨に相当する軟骨組織を作ります。iPS細胞を経る

場合は、血液からも作ることができます。

それを使って、病気が起きる仕組みを調べ、治療薬を探索していきます。

④関節軟骨損傷の再生治療法開発と治療薬の探索  ― iPS細胞から軟骨組織を作るー

関節軟骨には血管が存在せず、損傷しても自然修復が起きにくい点が、治療を難しくしています。

そこで私たちは、細胞リプログラミング技術を使って誘導した軟骨細胞から軟骨組織を作り、その軟骨組織

を損傷部に移植し、関節軟骨を再生する研究を行っています。


軟骨は免疫原性が低く、同種移植が可能なことが知られていますが、

iPS細胞から作った軟骨も生体の軟骨と同様に免疫原性が低いことがわかりました。

同種iPS細胞由来軟骨の臨床応用を目指し、臨床用iPS細胞から軟骨組織を作るプロトコールの開発を行っています。

今後は細胞調整室を稼働し、非臨床試験を行う予定です。


また、変形性関節症に対して、病態を解明し、治療薬の探索を行っています。

第10回 大阪大学
健康・医療クロスイノベーションフォーラム

研究テーマである骨・軟骨の形成機構の解析と再生について本動画では関節軟骨へiPS細胞由来軟骨を移植する臨床応用のプロジェクトを紹介しております。
演題名「軟骨発生の基礎研究から軟骨再生治療の実現への挑戦」

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